しゃすら店長日記

しゃすら店長日記ライター第1号さんのお手持ち盃

色々あって、ちょっと前のことになってしまったのですが、先日ご紹介した「しゃすら店長日記ライター第1号さん」とお食事をすることになったとき、貴重なご家宝の高蒔絵※(たかまきえ)盃を持参してくださったのです。なにやら厳かな気配をまとったこの盃・・・。なんでも明治天皇から直々に拝領されたものだとか・・・。ライターさんのステキなエッセイを下にご紹介いたしますね!

※高蒔絵:蒔絵の技法のひとつ。模様の部分を肉上げし、その上に蒔絵を施したもの。鎌倉中期に始まる。

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めぐり合わせの妙

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和の酒器である盃が、三つ組、七重ねとしばしば組になっていることには、縁起をかつぐばかりではない合理的な意味がある、と年寄りから聞いたことがある。

盃は、小さなものから大きなものへと、「飲み上げてゆく」のが定法である。

懐石の流れも、軽いものから、重く、濃厚な味わいへと移ろってゆく。酒と、組になっている盃とは、この流れにおいて融合する。

小さな盃で日本酒を飲むと綺麗な酸が立ちやすい。したがって、日本酒を小さな盃で飲むと、前菜の、たとえば白瓜の雷干しや白身魚の糸づくりに、柑橘の酸味を添えるような効果が生まれる。

盃がやや大きくなると、角が取れてまろやかになり、料理を受け止める幅が広がってくる。鱧や真薯を用いた、温かでたっぷりとした吸い物や、季節の野菜・山菜を香り高く炊き上げた煮物には、このくらいのやわらかな舌触りのお酒を合わせたい。

そして主菜は、大きな盃を用いて、たっぷりと豊かなお酒の旨味を存分に感じながら、悠々といただきたいものである。

実は、ある種のワインにも、日本古来の盃使いが応用できる、こともある。

和の盃と相性が良いのは、白によらず、赤によらず、素直で透明感の高いワインである。

巧まずして——というところが面白いのだが、麻布牛坂の洒落た中華料理のお店で、ちょっと意表をついたコラボレーションがもちあがった。

旬の食材を用いた洗練された中華料理に、旅でみつけたスイスのピノ・ノワールを持ち込んで、それを、たまさか鞄の中に入っていた高蒔絵三つ組の朱杯で飲んでみよう、ということになったのだ。

試しに、とワインを盃に注ぐと、緋色の波が金蒔絵にたゆとうて、ゆらゆらと三次元的な煌めきを見せた。

はじめに、小さな盃が演出した爽やかな酸味は、あたかも和柑橘を絞ったように若鮎の春巻きに沁みて、抜群の相性。

中ほどの盃が見せる調和の妙は、紹興酒に漬けた渡り蟹にも、老酒に漬けた鹿にも、優しく寄り添った。

そして、大きな盃でひと口ワインを含み、息を抜くと、甘夏やぽん柑のような濃く、黄色い、柑橘の甘い香りが通りすぎ、濃厚な蒸し魚とも、醤油漬けの家鴨とも、天然鰻の旨味とも、堂々と拮抗した。

スイスのピノ・ノワールは、盃によって見事に三変化を遂げてそれぞれに、秀逸な料理とのマリアージュを見せてくれたのである。

「盃とワインとお料理——和洋中が、巧い具合にそれぞれの力を活かしている。世の中、こういう風にいくと平和なのですがねえ。」

来週には所謂「歴史的」な米朝首脳会談がひかえている、梅雨の、木曜の夜の出来ごとであった。

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