しゃすら店長日記

コルナランとユマーニュ・ルージュの「ややこしい関係」

あまりにも、久しぶりのしゃすら店長日記のテーマは、スイス・ヴァレー州でのみ栽培されているブドウ品種のコルナランと、ユマーニュルージュです。

この4~5日間、スイスで買った現地の関係書籍を読んで調べたり、ワイン生産者さんや、ブドウ品種専門家の方々にメールして教えていただいたり、時間と手間がかかりましたが、このふたつの品種、シノニムなのか、別物なのか、なにかその関係性がはっきりしなくて、ずっとモヤモヤしていたのが、やっとすっきりできました。コロナで時間ができたことによる良い面のひとつなのかもしれません。


ちょっとばかりややこしい内容です。



コルナラン(Cornalin)には、同じ名前の2つの品種があって、そもそもすでにそこに問題の端緒があるわけです。(遺伝子を確認するような科学が進歩していなかった当時では、よくあり得るであろう交錯ですよね。)

ひとつのコルナランは、北イタリアのヴァレ・ダオスタ(Valle d’Aosta)に起源のある黒ブドウ品種で、1838年の文献で確認できるように、その頃は、それなりの量が植えられていました。20世紀に入り、このコルナランは、イタリア最北部のヴァレ・ダオスタ州とスイスの最南部ヴァレー州の間にあるグラン・サン・ベルナール峠を越えて、ヴァレー州フュイ(Fully)に植えられました。そしてそこで、なぜだか原因は不明なのですが、ユマーニュ・ルージュ(Humagne Rouge)という名が与えられてしまったのです。(ヴァレ・ダオスタのコルナランと、ユマーニュ・ルージュが同品種であるというDNA鑑定がスイスの公的検査機関で実施されています。)

現在、イタリア側では、このコルナラン品種は、ほぼ消滅してしまっていて、スイス側でユマーニュ・ルージュとして種が生きながらえているという訳なのです。イタリア起源の品種ですので、スイスの地場品種ではないのですが、現在では、スイス・ヴァレー州だけに植えられています。みな様にお求めいただいている「ユマーニュ・ルージュ」がそれですね。https://yama91swisswine.com/SHOP/VLJG2018R0003.html


他方のコルナラン。これがまた、ややこしい(笑)。ルージュ・ド・ペイ(Rouge du Pays)という地場品種がヴァレー、グラン・サン・ベルナール峠のスイス側に自生したものを、あやまって、1972年に「コルナラン」であると決められてしまったのです。(そのくらい、ヴァレ・ダ・オスタのコルナラン、つまり、ユマーニュ・ルージュに似ていると言えば似ています。)その後、この詐称コルナラン、つまりルージュ・ド・ペイと、あとひとつの不明品種との自然交配によって、子であるヴァレーのコルナランが生まれました。このコルナランこそが、現在、みな様にお求めいただいている「コルナラン・シャンマレ」なのです。https://yama91swisswine.com/SHOP/VLJG2016R0005.html

ルージュ・ド・ペイは、現在ではほぼ消滅してしまい、また、ヴァレーのコルナランがルージュド・ペイと不明品種との自然交配であることは、DNA鑑定によって証明されました。

どうですか?結構ややこしいですよね。スイスとイタリアは地続きですので、古来より人や物の行き来が自然に行われていたでしょうし、ブドウ品種にしてみれば、国境なんて関係ないですね。品種だって、自然に交配を繰り返しているだけで、人間が勝手に、これはコルナランだ、あれは違うと、科学で分析しているだけなのですから、迷惑な話なのかもしれません。

少しでも、理解のお役に立てればと、関係している場所の地図も貼ってみました。ユマーニュ・ルージュや、コルナランを飲みながらでも、ぜひ、このあたりに想いを馳せて、楽しんでいただければうれしです。


おまけ情報。このややこしい話の舞台でもあるグラン・サン・ベルナール峠は、古来より、ヨーロッパの交通の要所であったそうで、かのナポレオン・ボナパルトもイタリア遠征の際に、4万のフランス兵を率いて、この峠を越えて行ったとか。歴史の教科書で見たようなダヴィッドの有名な絵に遭遇して、「ああ!!これは、この場所の絵だったのね!」と、今さらながらに感激したので、下に貼っておきますね!!



本年もどうぞよろしくお願い申し上げます

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしく「やまきゅういちスイスワイン」へ、ご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
2021年の年賀状をお出ししました。スイス・ヴァレー州ブドウ畑の典型的なパノラマの写真です。真ん中にローヌ川の上流が流れています(ローヌ川の行き着く先は、地中海ですね)。川の上に霧が立ち込めているのが判別できますか?左右斜面にローヌ渓谷に削られたアルプス山脈の谷の状態がよくわかりますよね!向かって右側がローヌ川南側、向かって左側がローヌ川北側になります。北側は、南に面しているということです。写真に、日当たりの良さが良く出ていますね。
実は、この写真、スイス・ヴァレー州のあるワイナリーを訪問している最中に、ヴァレー州ブドウ畑の典型的光景のあまりの美しさに感激して、思わず手にしていたスマホで撮ったものなのです。この直後、このワイナリーのワインにもいたく感動して、約1年後にやっと輸入が叶いました。もうすぐ港を出港します。楽しみにしていてくださいね!!!
今年も、たくさんのスイスワインの隠れた銘品を発掘して、みな様にご紹介させていただきたいです!!スイスワインは、まさに「アルプスの秘宝」です!!秘宝に出会う感動をお届けできたらいいなあ~と、がんばります。どうぞよろしくお願い申し上げます。(2021年1月)

20年に1度のお祭り、フェットデヴィニュロン(ブドウ生産者のお祭)に行ってきました

1797年に始まり、以来、20年~25年に1度開催されてきたFête des Vignerons フェットデヴィニュロン(ブドウ栽培農家のお祭)は、2019年7月18日~8月11日まで、スイス・レマン湖畔の瀟洒な街Veveyヴヴェで開催されました。
もともと、過酷な労働のブドウ栽培農家を慰労し、称揚する目的で始まったこのお祭りですが、回を重ねるにつれ、規模が大きくなっていき、今回は、期間中来場者数100万人以上、アリーナでのスペクタクルに出演した地元有志のボランティア総数5500人の大規模なものとなりました。
同じ地区にあるラヴォー地区のブドウ段々畑がユネスコの世界遺産に登録されたのは2007年、このお祭りも、文化的遺産価値を認められて、このたび、世界遺産に登録されることが決定したそうです。

お祭りの詳しい様子は、Fête des Vignerons2019のホームページFacebook https://www.facebook.com/fetedesvignerons/や、このやまきゅういちスイスワインのFacebook  https://www.facebook.com/yama91/

 (このトップページ内Facebookロゴマークにリンクを貼ってあります。)をご覧くださいね!

スイスのワイナリーの皆様からご招待をいただいて、やまきゅういちスイスワインも、その場でこの貴重な機会を共有させていただくことができました。思い切って出かけて行き、本当によかったと今、思っています。 (2019年8月)

アミーニュ微甘口タイプを出し忘れていました

さっき、メルマガを書きました。そのまま写します!しゃすら店長は、こんな仕事もしています!!

やまきゅういちスイスワインのメルマガ登録くださっているみな様、

いつも、格別のご愛顧を賜りまして、誠にありがとうございます。

スイスの固有品種アミーニュ、ご存知でしょうか?

このメルマガにご登録してくださっているワイン愛好家のみな様でしたら、

ご存知かも?しれませんね。

ほぼスイスのヴァレー州にのみ栽培されている土着の白ブドウ品種です。

世界全耕作面積41.5ヘクタールのうち、

29ヘクタールがヴァレー州のヴェトロ村にあります。

また、そのうちの10ヘクタールをやまきゅういちスイスワインが輸入している

ジャンルネジェルマニエが所有しています。

残糖度数によって、3種類のワインを造る面白い品種ですが、

ジャン‐ルネ・ジェルマニエでは、その3種類を造っています。

こちらの商品が、

真ん中の糖度925g/リットルの微甘口(moelleux モワル)のアミーニュ100%ワインです。

https://yama91swisswine.com/SHOP/VLJG2016W0004.html

この2016年ミレジメは、

全日空ANAの国際線ファーストクラスに今年春まで搭載されていたものです。

そんなことになるとは、まったく予期せず、

「すばらしく美味しい甘さのワインだな~!」と思い、

甘口ワインが売れるとも思えなかったのですが、どうしても気に入ってしまい、

少量発注した矢先にANAのファーストクラス搭載の知らせが来て、びっくり!!

納得の結末でした。約1年前のことです。

チーズとのイベントに使ったり、

その折に特に気に入った方が直接メールしてきてくださり

お買い求め下さったりしていました。

今頃の季節には、モンドールなんて、絶対に合いそうです。

ブルーチーズにも悩殺のペアリングですね。

で、そういえば、ECサイトで全然ご注文が来ないのは、

甘口だからかしら?などと思いながらも、忙しさに何とはなしに放置していたのですが、

さっき、「非公開」設定になっているのを見つけ・・・

呆気にとられました。ご注文が来るはずがないですね。。。

なぜ、非公開設定にしていたのでしょう?何か使うつもりだったのか?もう忘れました。

そんなわけで、残り36本です。さっき、ECサイトの店頭にアップしました。

パーカポイント93点も、いただいたそうですよ!このミレジメ2016年。

税抜価格3,900円は、チーズとの至福を味わうための対価として、いかがでしょうか?

センスのいい方でしたら、絶対に、使える微甘口アミーニュ、

わかる人だけに分かっていただけるモワルです。

ぜひ、この稀少なスイスワインをお試しになってみてください。

https://yama91swisswine.com/SHOP/VLJG2016W0004.html

皆様のご来店を心よりお待ちしております。

どうぞよろしくお願い致します。

杉山商事株式会社

www.sugiyama1904.co.jp

やまきゅういちスイスワイン

www.yama91swisswine.com/

103-0016 東京都中央区日本橋小網町133

TEL/03-3666-0124  FAX/03-3666-0891

vin@sugiyama1904.co.jp

スイス・ヴァレー州から新商品のピノノワール

<ピノノワール・クロ・ドゥラ・クタ 2016>

https://yama91swisswine.com/SHOP/VLJG2016R0002.html


今日は、ECサイトに新商品のピノノワール赤ワインの商品登録をしました。けっこう、時間がかかるんですよね、これって。

それに比して・・・だいたい、新たに増やしたいと思えるアイテムに出会ったときは、試飲で口に含んだとたんに買い付けを決めてしまえるほど、決断に時間のかからないものなんですよね。このピノノワールもそうでした。

清らかさ、スケールの大きさ、動き、堅牢なストラクチャー、明るい果実味、余韻の心地よさ・・・ 一瞬のうちに決めていました。

スイスワインらしい、ヴァレー州らしい、彼の土地らしさ満載のピノノワールです。

生産者ジャン‐ルネ・ジェルマニエのジルも、満足の出来上がりの様子です。

たった60本だけ、しかも、かき集めてもらって、60本やっと分けてもらえたミレジメ2016。これを書いている時点で残り53本。いつまであるのか、お試しになりたいようでしたら、ぜひ、お早めにね!

https://yama91swisswine.com/SHOP/VLJG2016R0002.html

スマホから書けるのかしら?

しゃすら店長日記って、つまり、ブログですよね?インスタとかfacebookと、どうやって差別化するのか?せっかく書くのだったらfacebookなどとの内容を変えた方が、わざわざこのブログを読んで頂けるようになるわよね?意味があるよね?と思うのですが、どんなものでしょう?ものは試しで、少しやってみます。これまでは、写真を縮小したり、手間がかかってかかって、忙しいのに、そんなことしてられなくて、ブログ書くのに‥‥ついつい簡便にアップできちゃうインスタやfacebookにスマホで撮った写真をペッと貼っつけてアップ完了!してしまい、ブログを後回しにしてしまっていたのですが‥‥致し方なく。スマホからだと写真貼るのは無理そうですね。日々の徒然を書き連ねる感じかしら?思ったこととか?しゃすら店長の「人柄」をわかっていただくためにも?( ̄∇ ̄)


満を持して・・・So2無添加シャスラ発売です

なにかもう、どのくらい経ってしまったのか、しゃすら店長日記、書き方すら忘れてしまいました。仕事をさぼっているわけではないのですが、今年3回目のスイス出張から帰国しております。。。

今年3回目のスイスへの出発予定日は、あの、9月9日の台風翌日の成田空港孤立化のあったその日だったのです。。。もう、タイヘンだった。この顛末をお聞きになりたい方は、いつでもその一部始終をお話ししますよ!

その後、ヨーロッパでの仕事を無事に終え、帰国したものの、しばし茫然。やっと正気に戻り、さっき、ECサイトのメールマガジンを書き上げました。

新商品の「Cuvée Henri キュヴェ・アンリ2018」のご案内でした。メールマガジンの登録をしていただけると、こうした新商品のご案内だとか、お得な情報もいちはやくキャッチできるので、もしもよろしければ、ご登録くださいませ~。

「Cuvée Henri キュヴェ・アンリ2018」は、要は、スイスでほぼ初めて造られた(毎年1月に伝統的にヌシャテルで発売されるあの無濾過のシャスラワインを除いて)シャスラのSo2無添加、無濾過、無清澄、つまり、何にもしてない自然のままのシャスラワインなのです。

https://yama91swisswine.com/SHOP/VDLCHC2018W0001.html

よほど醸造に自信が無ければ造れないのではないかと思うのですが、このシャスラ、ナチュラルワインならではの、のびやかさ、清らかさ、余韻の心地よさ・・・。

「う~ん、いいね!何本あるの?」と聞くと、キャトリーヌ、「もう無いの。」と。実は、2017年産が初ミレジメだったのですが、その時、私に紹介する間もなく、アッという間の完売で、2018年産も私が行った2019年4月初めの時点で、完売したばかりのタイミングだったのです。

「え~!そんな殺生な。。。まだだって、4月の初めに来たのに・・・。」と、すねる私に、キャトリーヌ、

「ちょっと、待って、チューリッヒのワインショップが、全部持って行ったから少し分けてくれないか、交渉してみてあげる。」ということで、ほんの少しですが、やっと9月に日本にやって来て、そして、先ほどECサイトにあげました。

これが、その時2019年4月のワイナリーカーヴでの試飲の様子。

しゃすら店長日記ライター第1号さんのお手持ち盃

色々あって、ちょっと前のことになってしまったのですが、先日ご紹介した「しゃすら店長日記ライター第1号さん」とお食事をすることになったとき、貴重なご家宝の高蒔絵※(たかまきえ)盃を持参してくださったのです。なにやら厳かな気配をまとったこの盃・・・。なんでも明治天皇から直々に拝領されたものだとか・・・。ライターさんのステキなエッセイを下にご紹介いたしますね!

※高蒔絵:蒔絵の技法のひとつ。模様の部分を肉上げし、その上に蒔絵を施したもの。鎌倉中期に始まる。

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めぐり合わせの妙

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和の酒器である盃が、三つ組、七重ねとしばしば組になっていることには、縁起をかつぐばかりではない合理的な意味がある、と年寄りから聞いたことがある。

盃は、小さなものから大きなものへと、「飲み上げてゆく」のが定法である。

懐石の流れも、軽いものから、重く、濃厚な味わいへと移ろってゆく。酒と、組になっている盃とは、この流れにおいて融合する。

小さな盃で日本酒を飲むと綺麗な酸が立ちやすい。したがって、日本酒を小さな盃で飲むと、前菜の、たとえば白瓜の雷干しや白身魚の糸づくりに、柑橘の酸味を添えるような効果が生まれる。

盃がやや大きくなると、角が取れてまろやかになり、料理を受け止める幅が広がってくる。鱧や真薯を用いた、温かでたっぷりとした吸い物や、季節の野菜・山菜を香り高く炊き上げた煮物には、このくらいのやわらかな舌触りのお酒を合わせたい。

そして主菜は、大きな盃を用いて、たっぷりと豊かなお酒の旨味を存分に感じながら、悠々といただきたいものである。

実は、ある種のワインにも、日本古来の盃使いが応用できる、こともある。

和の盃と相性が良いのは、白によらず、赤によらず、素直で透明感の高いワインである。

巧まずして——というところが面白いのだが、麻布牛坂の洒落た中華料理のお店で、ちょっと意表をついたコラボレーションがもちあがった。

旬の食材を用いた洗練された中華料理に、旅でみつけたスイスのピノ・ノワールを持ち込んで、それを、たまさか鞄の中に入っていた高蒔絵三つ組の朱杯で飲んでみよう、ということになったのだ。

試しに、とワインを盃に注ぐと、緋色の波が金蒔絵にたゆとうて、ゆらゆらと三次元的な煌めきを見せた。

はじめに、小さな盃が演出した爽やかな酸味は、あたかも和柑橘を絞ったように若鮎の春巻きに沁みて、抜群の相性。

中ほどの盃が見せる調和の妙は、紹興酒に漬けた渡り蟹にも、老酒に漬けた鹿にも、優しく寄り添った。

そして、大きな盃でひと口ワインを含み、息を抜くと、甘夏やぽん柑のような濃く、黄色い、柑橘の甘い香りが通りすぎ、濃厚な蒸し魚とも、醤油漬けの家鴨とも、天然鰻の旨味とも、堂々と拮抗した。

スイスのピノ・ノワールは、盃によって見事に三変化を遂げてそれぞれに、秀逸な料理とのマリアージュを見せてくれたのである。

「盃とワインとお料理——和洋中が、巧い具合にそれぞれの力を活かしている。世の中、こういう風にいくと平和なのですがねえ。」

来週には所謂「歴史的」な米朝首脳会談がひかえている、梅雨の、木曜の夜の出来ごとであった。

しゃすら店長日記ライター第1号さん!決まり!

しゃすら店長日記っていうのは、しゃすら店長が書くから、しゃすら店長日記なんですけれど・・・。

でも・・・。しゃすら店長がスイスで輸入を決めて、直接仕入れたワインをしゃすら店長自らが手を換え、言葉を換えてお勧めしたところで、しょせんはやっぱり「手前味噌」。たまには、他の人に書いていただいて、評してもらったり、表現してもらったり、そうゆうのも楽しいんじゃないかしら?全然違うスイスワインの表情が見えてこないかしら?

ということで!

じゃ~んと、登場、御紹介するのは、そんなしゃすら店長日記のライターさん第一号!!ペンネームも決めたいのだけれど、う~ん、なかなかピッタリくる名前が思い浮かばないので、また後日。

ライター第一号さんは、ワインへの造詣が深いことはもちろんのこと、そこはかとなく雅(みやび)な上品さが漂う趣味人というか・・・。学者さんだけあって、ちょっと浮世離れした風情もたたえておいでです。先日、ご飯をご一緒していただいた時のことを書いてくださったので、さっそく下に載せますね。(写真は、しゃすら店長が撮ったものを挟んでいます。)

このときは、スイスのドイツ語圏のピノノアールを一緒に飲んでいただきましたよ!次回の日記に説明しますが、菊の御紋の塗りの盃で!そうそう、予告ですが、このスイス・ドイツ語圏のピノノアール、目下、輸入の段取りに入っています!日本初お目見えですよね、ドイツ語圏のピノノアールなんて。楽しみにしていてくださいね!!

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麻布牛坂にてスイスの太陽に出逢いしこと

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「よくできたワイン」などというと、どうにもオコガマシイ感じがしてしまうけれど、あえていわねばならない。「よくできたワイン」は、ただ美味しいばかりではなくて、そのテロワールをありのまま、髣髴とさせてくれるもの。

ワインを生み出す背景のすべてをさす「テロワール」という言葉には、地質、土壌、気候や地理、歴史ばかりか、その土地に生きる人びとの気質や性格まで含まれる。したがってスイスワインといえば、緻密な時計職人キャビノチェのように、実直で、信頼でき、奥ゆかしい味わいのアイテムがもっぱら、ということになる。

だから、「よくできたワイン」を飲むと、そのワインが育まれた地を旅するような、その土地の人びとと会ったような、そんな気持になる。

そんな、赤ワインに出逢った。

「今度の旅でみつけた、スイスワインなんですよ。」

と、しゃすら店長。

スイスのシュペート・ブルグンダー、つまりピノ・ノワールは、比較的若いうちから練熟の味わいが乗ってくるのも特徴のひとつ。例えば、小さな歯車を磨き続け、小宇宙を長く旅したキャビノチェには、40歳でも老師のような風格をたたえた人が多い・・・そんな感じ、か。

しかし、このワインには、加えて抑制の効いた華やかさがあった。職人というよりは、気難しい職人の父親が目の中に入れても痛くない、明るい末娘。グラスに鼻を近づけると、ふわっと日向の香りが立って、それが鼻孔の奥で収縮し、ラズベリーになった。心地よく、至極まろやかな酸がとてもチャーミング。これは、シュペート・ブルグンダーというより、ピノ・ノワールと呼んだ方が相応しい。同席していたKさんも、そう思ったらしい。

 「日当たりの良い、温かなところで育ったピノですね。」

 「あの山を越えたらリヒテンシュタイン、という国境近くで造られたワインです。」

 「ああ、山が風をさえぎって、温かいのですね。ぶどうが熟する夏の終わりを、ゆっくりと過ごしたのでしょうね。」

Kさんの脳裏には、すっかりこのワインを育んだ情景が見えているらしい。まるで、解析度の高い遠眼鏡を覗いているような透明感がある。こういう「よくできたワイン」は、場合によっては地図よりも解りやすく、地理情報を伝えてくれる。

ワインが喉の奥へと落ちたのち、鼻をくすぐる香りの中に、かすかなマンダリンオレンジがあった。スイスの、夏の終わりの、太陽を髣髴とさせる、奥ゆかしい程度に。

もう一度、Kさんが呟いた。

 「日当たりの良い、温かなところで育ったピノですねぇ。」

Heida de Vex アイダ・ド・ヴェ

新発売の「Heida de Vex アイダ・ド・ヴェ」の商品ページを作りました。スイスのヴァレー州では、フランス・ジュラ地方で栽培されているサヴァニャン品種をアイダ、もしくは、パイヤンと呼んでいます。「パイヤン」は、異国の地という意味ですが、ヴァレー州から見て、異国の地、ジュラ山脈の向こう側の品種、と言うわけです。その品種を16世紀以前の昔からヴァレーで栽培していたのですから、おもしろいですよね。これが、そのワインです。「キャラの立ってる」という表現がぴったりなワインかもしれないです。
商品ページはこちらです⇒ https://yama91swisswine.com/SHOP/VLJG2015W0003.html

このアイダ、実は、ものすごい場所で栽培されているのです。標高は約800m、エレーヌ渓谷という山あいの断崖に貼り付くようにしてClos de la Couta クロ・ドゥ・ラ・クタという区画があるのですが、これは、ヴァレー州の生産者さんたちが協力し合って、打ち捨てられていた畑を再生したものなのだとか。。。弊社の輸入するジャン・ルネ・ジェルマニエは、ここでBIO栽培しているそうです。

どうやったら、このHeida de Vex の畑、Clos de la Couta(クロ・ドゥラ・クタ)のものすごい標高の高さ、断崖絶壁の感じ、急勾配の様子をお伝えできるのかと、あれこれ写真を選んでみるのですが、なかなか思うようなものが見つかりません。実際、とんでもないところにブドウ畑があるのです。
そこで、選んでみたのがこの写真。ワイナリー代表のジル・ベス氏と一緒に撮ったものです。決して、ジル氏と特別な良い仲という訳ではないのです・・・。
「記念に写真を撮らないの?」と、同行してくれたワイナリーの方に言われ、「え?!こんな所で?!」と、ちょっと躊躇して「でも、ここでこの位置で立ったら下に落っこちてしまうわ!」と答えると、ジル氏が「じゃあ、僕がこう立って(下手側)、受け止めるよ。」と言ってくれたのでこのようなポージングになったのです。
6月のギラギラの太陽の下、熱射にさらされながら、恐さを我慢している私の浮かない顔をご覧いただけますでしょうか?。両足も交差させてずり落ちないように踏ん張っています。「早く撮って・・・!(内心)」


私とジル氏の右手をご覧ください。ブドウ畑の杭にしっかりとつかまっているのがお分かりいただけるでしょうか?つかまっていないと、身体が下に落ちてしまうのです。
「ああ・・・もういいかしら?」と思っていると「は~い!!もう一枚!!ピース!」と催促が・・・。


しぶしぶ「ピース!」のこの浮かない顔して愛想笑いのお付き合いしている私の態です!!そのくらい、恐くて怖くて、ともかく、体がずり落ちて行かない方向へ早く向き直りたいと思っていた気持ちと、しっかりとブドウ畑の杭を握っていた右手の感触は、今でもはっきりと思い出すことができます。
そのくらい、急勾配で、目も眩むような高い断崖絶壁の上にHeida de Vex のブドウ畑はあります。

しゃすら店長日記

=店長からのメッセージ、日々の出来事をお届けします=
店長の名は、しゃすら。しゃすら店長と呼んでくださいね!!忘れもしない2010年9月、スイスのエーグルでたまたま飲んだシャスラに衝撃を受け、以来、惚れこんだスイスワインに特化して深堀り、日本に紹介しています。
店長日記はこちら >>

しゃすら店長の動画は、こちら↓

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